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相続・原点追求

▼”相続・原点追求”(日本相続学会第二回研究大会より)

今回の「相続・原点追求」というメインテーマは、まさに国民に向けたメッセージです。来年からの相続税改
正を機に、国民の相続への関心は高まっています。しかし、それは相続の一側面である「相続財産の行方」
のみに偏っていると考えられますこの視点のみで相続を迎えた時、「無用な相続争い」への近道となります。
そのため、今ここに道標を建てようとしているのです。「相続」とは何か。深く追及していくと、人間はいかに
生き、次世代に何を相続させるのか。という課題の前で立ち止まります。そのヒントをいただくため、進化の
隣人であるチンパンジーの研究を通じて、人間の心や行動の進化的起源を探り、「比較認知科学」と呼ばれ
る新しい研究領域より「人間とは何か」について考えてみたいと思います。

 「円満かつ円滑な相続」を目標に揚げている理由は、無用な相続争いによって相続人が絶縁状態になると
いう、悲しい姿に遭遇し、そこに起こった多くの不幸を見てきているからです。兄弟姉妹は、独立してしまえば
別々の単位と思われますが、互いに第3順位の相続人であり、親や本人に不要が必要となった時、直系血族
は等しくその扶養の義務を負います。また、本当に困った時や緊急時に、最初に助け合う「幸福追求の第一次
的集団」でもあります。親の相続を機に、子供たちが無用な相続争いを起こし、家族の重要な機能を失うことの
ないよう、将来に豊かな社会を相続したいと考えます。

私たちには、二つの大きな使命があります。一つ目は、現行のルールの中でいかに工夫したら{円満かつ円
滑な相続」を迎えることができるかという研究です。実務者中心の本学会会員は、それぞれに無数の事例情報
を手元に持っています。その情報を注意深く積み重ね、探究するという業際的視点に、学際的視点からのご協
力をいただき、たくさんの答えを見出そうとしています。
そして、その成果を早く、広く国民に公開するという使命です。二つ目は、新しいルールを政策提言していくとい
う使命です。相続に関する現行のルールのうち、既に国民生活の実態に合わない部分については、本学会なら
ではの提言をしていくことが必要であると考えます。
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